就活比較の情報

現場の実行機能を極大化することに価値のあった時代には非常に適合的なシステムだったが、全社にまたがる戦略的な意思決定機能が重視される時代になると、課長の守備範囲外の判断が大半を占めることになり、課長の強みと実行機関としての強みの効力は一挙にワークしなくなってしまうのである。 事業展開における競争力の源泉がKAIZENからイノベーションにシフトすると、それに伴って企業活動を行っていく上での組織の生産性の主要ファクターも、集団モラルから個人のクリエイティビティにシフトする。
つまり、嘗てはいかに皆で一致協力して頑張るかでアウトプットの質と量が決まっていたのが、これからは個人の独創性や創造力をいかに発揮させるかということがアウトプットの質と量を決めるようになる。 こうした変化を受けて、組織のアウトプットを極大化するためのマネジメントのあり方も従来のままではいられない。
企業の戦略合理性を形成するファクターとして、あるいはトップマネジメントの役割として、モラルマネジメントの重要度は低下し、中長期的な事業展開に関わる意思決定がかってないほど重要になってきたのである。 これ以降、事業展開の成否は的確で迅速な意思決定によって決まる度合いがかってないほどに高まるのだ。
したがって戦略的な意思決定を実現するような組織運営体制を再構築しなければ、その企業は確実に競争力を失い、新しい時代のうねりに飲み込まれ、淘汰されてしまうだろう。 今後、事業活動の成果の八○%は意思決定に左右されると思っていい。
残り二○%のところでいくらKAIZENで頑張っても最終成果はたいしたものにはならない。 多方面に広がっている方向性の中から、どの道を選択するのか。

その選択さえ正しければ、事業の大半は成功したことになるのである。 たとえば、どんなスポーツにも適用できるほど運動神経抜群の少年がいたとしよう。
彼がゴルフ、サッカー、野球といったスポーツを選べば、プロになって将来一億円プレーヤ弓道を選んでしまったら、どんなに選手として一流になっても金銭面で報われることはないだろう。 もちろん、スポーツ選手の場合は金銭面だけで満足度や達成度を計れるわけではない。
卓球の世界チャンピオンにでもなれば、本人はその名誉だけで十分に満ち足りた気持ちになるだろう。 利潤の追求を最大目的とする企業の場合は違う。
最初の意思決定で間違った方向を選んでしまったら、その後いくら実行機関として完璧な仕事をしたとしても、企業としての存続はあり得ないのである。 組織運営体制の再構築とは、人事制度はもちろん、あらゆる制度を含めて組織の骨格そのものをそっくり作り直すことを意味している。
この作業は不採算部門を切り捨てる従来のリストラとも違うし、業務プロセスの改革であるリエンジニアリングとも違う。 企業のあり方や組織運営の目的そのものが変わるという意味では、まさにコーポレート・リストラクチュアリングという呼び方が相応しいだろう。
まず、情報力。 必要な情報を過不足なく収集し、その情報をきちんと分析して意思決定のために有用なメッセージを抽出することが必要である。
嘗ては社内の人間関係に代表される内部的な情報の収集システムは整っていたが、今後は事業環境の変化への敏感な対応が必要となるため、外部情報を迅速に収集し、的確に分析して意思決定の判断材料となるメッセージを導き出さなければならない。 嘗ての内部情報は、収集や分析の対象としてではなく、家族同士で共有し共感するものとして扱われていた。
酒を酌み交わしながら自分自身や周辺の人々に関わる情報を交換し合い、ときには愚痴をこぼし、ときには「ここは辛抱して一肌脱いでくれよ」といった具合に励まし合う。 これからは情報の質も扱い方も変わってくる。
もっとクールでシステマティックなアプローチによって情報を収集・分析しなければならないのだ。 その際、何よりもまず手掛けなければならないのは、くどいようだが意思決定機能の強化である。
それを実現するためのキーポイントは情報力、スピード、意思決定者の三点である。スピードというファクターも意思決定機能の強化には欠かせない。 事業環境が短いスパンでめまぐるしく変化するため、意思決定のスピードが競争力に大きな影響を及ぼすのだ。
たとえばパソコンのように新しい機能を備えた新製品が次々と登場する市場変化の激しい分野の場合、せっかく新製品を作っても市場に投入するタイミングを逸せばただの粗大ゴミになってしまう可能性もある。 意思決定が遅れるほど、陳腐で魅力のない製品の余剰在庫を抱える結果になるわけだ。

この場合、製造コストや労働コストよりも意思決定のスピードが重要になってくる。 実際、台湾パソコン界の雄として急成長を遂げているエイサーの施振栄会長も、雑誌のインタビューで「新製品を開発して市場に投入するまでのスピードのほうが製造コストよりも重要」と語っている。
「市場の変化に合わせて速く動ければ、そのスピードによってリスクは軽減される」とている。 情報処理に関しても、スピードが要求される。
いくら適切な情報を大量に集めて正確に分析しても、スピードが伴わなければまったく役立たないデータになりかねない。 意思決定の判断材料とするには、正確さと同等以上に迅速さが重要になると考えていいだろう。
嘗ては、意思決定が全体のコンセンサスを得たものかどうかが重視された。 したがって、どうしても決定までに時間がかかる。
スピードは軽視され、とにかくコンセンサスを得ることが最優先だったのだ。 もちろん、今後の意思決定もコンセンサスを得るに越したことはない。
しかし、そのために迅速さが損なわれたのでは本末転倒である。 スピードを最優先し、コンセンサスにこだわりすぎる必要はまったくない。
とくに事業がますます国際化してくると、全体のコンセンサスに固執する全員参加型の意思決定は通用しなくなる。 海外では、どんなに大規模な事業でもきわめて短期間で決断を迫られるのだ。
いちいちコンセンサスを得ている暇はない。 グズグズしていると、それだけで相手はこちらが慎重になって決断を渋っていると判断しかねないのである。

このように、迅速な決断を実行するためには情報収集システムや分析の手法を高度化するのと並んで重要なポイントとなるのが、意思決定の主体者を明確化することである。 これまでは全体のコンセンサスとして意思決定がなされ、集団で責任を取るメカニズムだったので、主体者を明確にする必要がなかった。
むしろ、主体者を作ってはいけなかったのである。 手柄も失敗も個人の成果に結びつけてはいけない。
大家族主義的な組織の中では、どんなかたちであれ個人に責任を負わせることはないし、スターを作ることもなかったからだ。 その大家族主義が崩壊したからには、誰が判断するのか、さらに誰が判断しなければいけないのか、その主体者を明らかにしなければ意思決定機能はワークしない。
意思決定は権限であり、義務でもあるのだ。 意思決定に主体性を導入し、かつその責任を明確にしておかなければならない。

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